会社や個人事業主は、様々な書類を税務署に提出する必要があります。
毎年1月末に、「法定調書」と呼ばれるものを税務署に提出します。
この「法定調書シリーズ」では、主に提出する法定調書を解説していきます。
第1回目の今回は、「法定調書」にはどのようなものがあるか解説していきます。
法定調書とは
法定調書とは、「所得税法」、「相続税法」、「租税特別措置法」及び「内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律」の規定により税務署に提出が義務づけられている資料をいいます。
現在、59種類の法定調書があります。
参照:国税庁 タックスアンサー 法定調書の種類より
タックスアンサーにも記載があるように、法的に提出が義務付けられている書類です。
税務署はこの法定調書を使い、お金の流れを把握する材料とします。
「税務署」へ提出するのは、お金を「支払った側」の会社や個人事業主です。
法定調書はどのように利用されるのか
法定調書は、お金を支払った側が税務署へ提出する書類です。
[aside type=”boader”]利用例
A社が、Bさんに対して100万円の報酬を支払った。
A社は、1月末に税務署に対し、「支払調書」という法定調書を使用し、
100万円の支払いの事実があったことを報告します。
Bさんは、確定申告をしませんでした。
税務署は、A社がBさんに対し100万円の支払いの事実があったことを把握しています。
支払調書と、Bさんの申告内容が一致しないことになります。
税務署は、支払調書の内容と確定申告の内容が合っているかを確認するため、
「お尋ね」や「税務調査」をすることになります。[/aside]
法定調書にはどのようなものがあるのか
法定調書は、所得税法などにより定められています。
給与所得者が会社からもらう
- 給与所得の源泉徴収票
- 退職所得の源泉徴収票 も法定調書の1部です。
会社や個人事業を行うと比較的目にする法定調書は、
- 税理士などへ支払う報酬の「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」
- 不動産の大家さんへ支払う家賃の「不動産の使用料等の支払調書」 などがあります。
一番なじみがある「源泉徴収票」も法定調書として、税務署へ提出することになります。
平成28年4月1日時点での法定調書の種類は、「59種類」あります。
一部をご紹介します。
- 給与所得の源泉徴収票
- 退職所得の源泉徴収票
- 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
- 不動産の使用料等の支払調書
- 不動産の譲受けの対価の支払調書
- 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
- 利子等の支払調書
- 国外財産調書
- 財産債務調書 など
法定調書の提出期限は?
法定調書の提出期限は、法定調書の種類により異なります。
- 給与所得
- 退職所得
- 報酬、料金
- 不動産の使用料
- 不動産の譲受けの対価
- 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
1~6までの法定調書は、「平成○○年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」を添付して提出します。
上記の法定調書は、翌年の1月31日までに税務署へ提出します。
会社が配当金を支払った場合に提出する「配当、剰余金の分配、金銭の分配及び基金利息の支払調書」の提出期限は、配当等を支払った日から1か月以内に提出します。
まとめ
法定調書は、税務署がお金の流れを把握するための材料になります。
一番身近な法定調書は、「給与所得の源泉徴収票」ではないでしょうか。
次回は、「給与所得者の源泉徴収票」の提出要件などを確認していきます。