従業員に賞与を払ったり、中古の減価償却資産を購入したりと、会社の決算対策の手法は様々です。
今回は、「保険に入る」ことを利用した決算対策をご紹介します。
節税対策というと「保険」というくらいポピュラーな手法です。
保険は、保険料を払う(入口)の部分と、保険金や解約返戻金が返ってくる(出口)の部分があります。
それぞれ見ていきましょう。
保険料の支払時(入口)
保険は、保険の種類により、保険料の全額が費用(損金)になるもの、保険料の半額が費用(損金)・残りの半分が資産になるものがあります。
なぜ保険は節税になるの?
保険は、保険の種類や補償内容に応じて保険料が高くなったり安くなったりします。
保険の契約により、利益を大きく圧縮できるためです。
決算直前の駆け込みで保険を契約、保険料の支払いまで完了すれば、その事業年度の費用とすることができます。
利益が毎年大きく出るような会社では、保険に加入しているケースが多いですね。(あくまで節税の1つの手段として、ですが。)
会社で保険に入るメリット・デメリットをまとめてみました。
メリット
- 多額の利益を圧縮できる(保険の種類などによる)
- 決算直前でも対策できる(健康診断が必要なものもあるため、余裕をもって)
- 万が一の保障を受けられる
- 帳簿外に資金をプールしておける
- 役員や従業員の退職金の準備ができる
- 契約者貸付を利用できる
保険は、税務上利益を大きく圧縮できるほか、本来の保険としての機能もメリットとして挙げられます。
また、保険の種類にもよりますが、契約者貸付という制度も利用できます。
一時的に資金繰りが悪化した際に、金融機関からの融資を受けるということもありますが、保険の契約者貸付制度を利用することもできます。
デメリット
- まとまったお金が出ていく
- 毎年払い続ける必要がある
保険による決算対策のデメリットとして、お金に関するデメリットが挙げられます。
多額の利益を圧縮するためには、それ相応の保険料を支払う必要があります。
税金を減らすこともできますが、その分手元のお金も減ることになります。
例えば、1,000万円の保険料を支払って節税できる法人税額は、300万円(税率30%として)
300万円分法人税を減らすことができますが、同時に1,000万円のお金が手元からなくなります。
また、一度保険の契約をしたら、毎年同額の保険料を払い続ける必要が出てきます。
先ほどの例を使うと、毎年1,000万円の保険料を払い続けることに。
保険金の受取・解約時(出口)
保険は、満期で保険金が戻ってきたり、解約することで解約返戻金を受け取ることがあります。
保険料の支払時には、費用となり、保険金や解約返戻金の受け取りは収入(益金)となります。
保険金の受け取りや、解約返戻金によりまとまったお金が会社に入ってくることになりす。
つまり保険は、法人税の支払いを遅くしている(繰り延べている)だけなのです。
そのため、出口での対応をキチンと考えておく必要があります。
保険金や解約返戻金の支払いのタイミングに合わせて、退職金を支払うといったような手法が一般的ですね。
入口から出口までトータルで保険を使った節税を考える必要があります。
まとめ
多額の利益を圧縮できるため、真っ先に使いたくなりますが、一度契約した保険は毎年払い続ける必要があったりと後々苦しくなることもあります。
焦って飛びつくことは避けましょう。
入口と出口の対策をキチンと行えば、有効な節税方法になります。
保険は、節税に使えますが、本来の機能である保障内容も重要です。
ご自身にあった保険を検討しましょう。