「経費になる?経費することはできない?」という質問をお客様から頂くことがあります。
経費になる、ならないというのは、法律上キチンと決まっているわけではありません。
タクシー代一つとっても、仕事で乗った=経費になる、プライベートで乗った=経費にならない、と判断が分かれることになります。
事業に関係するものかどうか
当然のことですが、経費とは仕事をする上で必要な出費のことを言います。
事業に関係のあるものが経費となります。
事業に関係があるとは、
- 売上に貢献する
- 仕事を行うために必要なもの
といったことが挙げられます。
取引先と昼食を一緒にとり契約が決まった、請求書を発送するのに必要な封筒や切手を買ったなど、経費になるものは何かしら事業に関係があるものです。
直接売上に繋がらなくても、「売上を上げるための行動かどうか」が重要です。
「経費になる・ならない」ではなく「経費にする・しない」
「なる・ならない」は他人軸
「経費になる・ならない」という言葉は、どこか第三者が判断したような言葉ですね。
- 他の経営者が、「〇〇はうちでは経費になるよ」
- 税理士が、「これは経費になりませんよ」
- 税務調査官が、「これは経費になりませんね」
こう言われたからうちでも経費になるな、こう言われたから経費にならないなと、判断を自分ではなく、第三者に委ねていますね。
冒頭の「経費になる?経費することはできない?」という質問は、税理士に「経費になるか・ならないか」の判断を仰いでいるのです。
「する・しない」は自分軸
では、「経費にする・しない」という言葉はどうでしょうか。
自分の意志で、これは「経費にする」、「経費にしない」と自分の判断で経費に入れるかどうかを判断したように聞こえますね。
- これは仕事で乗ったタクシー代だから、「経費にする」
- これはプライベートで乗ったタクシー代だから、「経費にしない」
勘違いしてはいけない「する・しない」
「経費にする」と聞くと、自分の判断であれば、なんでもかんでも経費にしていいように聞こえてしまいます。
ですが、そうではなく、あくまで「事業に関係があるもの」を自分の判断で「経費にする」のです。
説明ができるか?
「経費にする・しない」は自分の判断、と書いてきましたが、「主観的」な基準ではダメです。
「客観的」に説明できなければ経費にしてはいけません。
従業員・家族・恋人・友人にその経費についてキチンと説明できるか、を考えてみましょう。
- 家族との旅行代
- プライベート用に買った家具
このような支出を経費にしようとすると、「事業に関係があるもの」に結び付けようとかなりムリがある(後ろめたい言い訳や理由)説明をしなければならなくなります。
堂々と説明できないものは、経費にしてはダメです。
しっかりと「説明できる」という、「客観的」な基準を持ちましょう。
税理士にはわからない
タクシー代の領収書や家具のレシートを税理士に見せても、それだけでは経費になるか・ならないかの判断はできません。
その裏に隠されている事実=事業に関係があるかどうかは、実際に使った本人にしかわからないことです。
税理士が「これは経費になりませんね」といっても、しっかりと説明ができるなら、堂々と経費に入れるべきです。
損益計算書や青色決算書に表れるもの
損益計算書や青色決算書に表れるものは、1年間の営業活動の成果です。
①自分軸で②客観的に基準で判断した経費をしっかり入れたもので、営業活動の成果を見て、次の経営判断をすべきでしょう。
「経費になる・ならない」と第三者の判断が介入した損益計算書や青色決算書では、正確な経営判断はできないですよね。
経費とされたものの税務上の判断をフォローするのが、税理士
「経費とする」とされたものの中にも、税務上経費にならないものも少なからず存在します。
- 一定額を超える交際費は、法人税法上経費にならない
- 50万円のPCを買って経費にしたが、固定資産とし減価償却として少しずつ経費にしなければならない
- 業務上の駐車違反の罰金を支払ったが、税務上は経費にならない など
こういったものの判断をフォローするのが、専門家である税理士です。
まとめ
税理士に、「経費になる?経費することはできない?」と単純に聞かれても、それだけでは経費になるか・ならないかを判断することはできません。
事業に関係あるかどうかは、使った本人にしかわからないからです。
自分軸で客観的な基準で判断したものを、経費としましょう。
判断基準に迷ったら、この記事を思い出してみてください。